刀豆ナタマメ協会 Sword bean association
鹿児島の大地の力で身体を癒す。
■ 膿取り効果とメタボ対策 ■
なた豆は歯槽膿漏、蓄膿症などの膿を出す効果があるほか
加齢による腹部の陰圧を解消するのでメタボにも有効!
崇城大学薬学部教授・薬学博士 村上光太郎
痔を完治させた話が研究のきっかけに!
 なた豆は、さやの長さが30〜40cmにもなる豆類で、鉈(なた)のような形をしていることから、なた豆(鉈豆)と命名されたといわれています。
 中国ではさやを刀にみたてているのか、刀豆と表記されます。これを日本語読みしたトウズという呼び方もあります。熱帯アジアが原産で、中国では、漢方薬や薬膳料理の材料に用いてきました。
 日本には江戸時代初頭に渡来したといわれ、若いさやは漬け物に、完熟した豆はおもに薬用に用いられました。現在は南九州の鹿児島市で大規模な生産が行われています。
 私がなた豆のことを知ったのは、大学に入る前のことでした。小学校のときの先生が脱肛(肛門の一部が外に出る痔の一種)で苦しんでいたとき、近所のおばあさんに教えてもらい、完熟したなた豆を加工し、煎じて二〜三回飲んだら、すっかり治ってしまった、という話をしてくれたのです。以来、その先生は、自分の庭に毎年なた豆を植えるようになりました。
 大学の薬学部に入学してから、そのことを思い出し、なた豆の研究をしてみることにしました。調べてみると、なた豆は別名、「膿取り豆」とも呼ばれ、歯槽膿漏や蓄膿症、痔など、膿のたまる病気に効果があることがわかりました。
患部の血流を改善して膿をスムーズに排出!
 なた豆の膿取り作用(排膿作用)は、次のように考えられます。そもそも膿というのは、白血球が病原菌と闘ったあとの死骸で、病気を治すために必然的にできてしまうものです。しかし膿がたまったままだと、その部分の血流が悪くなり、新たな病気の誘因にもなります。
 これに対し、なた豆には血流を改善する働きがあるので、膿のたまった場所の代謝がよくなり、膿が排出されやすくなると考えられます。
□なた豆が有効といわれる症状
・歯槽膿漏(歯周病)
・イボ痔、切れ痔、痔ろう、脱肛
・吹き出物・面疔
・蓄膿症、扁桃炎、口内炎
・腎臓病、むくみ
・ポッコリ腹・メタボ腹の改消

 また東洋医学的なアプローチでは、次のように考えられます。
 中高年になると、お腹がポッコリと出てくる人が増えてきます。これは腹筋の衰えが原因ではないので、腹筋を多少鍛えたぐらいでは改善しません。東洋医学では、この現象を「腹部の陰圧」が衰えてきたために起こると考えます。
 人間のお腹は、陽圧と陰圧とでバランスをとっています。中高年になって、内蔵の代謝が落ちてくると腹部の陰圧が低下するため、お腹がポッコリと出てきます。またお腹が出るだけでなく、胃下垂、ヘルニア、脱肛など、内臓の一部が外に飛び出す病気を引き起こします。
 さらに陰圧が低下すると、内臓の代謝も悪くなるので、化膿しやすくなるばかりか、できた膿も排出されにくくなるのです。
 これに対し、なた豆には腹部の陰圧を高める作用があります。これはほかの豆類にはない珍しい働きです。それによって下垂したり、外に飛び出していた臓器が、体内の正しい位置に収まるようになります。その結果、膿も排出されやすくなるのです。
内臓脂肪を燃やしてメタボ腹も解消!
 メタボ(メタボリック症候群)の人のお腹もポッコリ出ていますが、これも同様に考えることができます。メタボの場合、単に腹部の陰圧が低下しているだけでなく、内臓脂肪がたっぷりついていることが問題です。
 なぜ内臓脂肪がつくのかと考えると、脂肪の代謝が悪いからです。一方、なた豆は代謝をよくする働きがありますから、これをとることによって脂肪が燃えやすくなり、その結果、メタボも解消されてくるのです。
 ただし脂肪を燃やすには、体を動かさなくてはなりません。ところが、肥満やメタボの人は動こうという意欲がありません。
 これに対して、なた豆には腸を強化する働きがあります。腸は意欲に関わる臓器で、腸が元気になると意欲も出てくるので、自然と体が動くようになります。そのため、なた豆をお茶にして飲んでいれば、無理に運動しようとしなくても、脂肪が少しずつ燃え、メタボ腹も解消されてくると考えられます。
現代人のミネラル不足を改善するすぐれた食品
 科学的な研究では、なた豆にしかない有効成分として、抗腫瘍作用のあるコンカナバリンA、免疫力を高めるカナバニン、腎機能を改善するウレアーゼなどが発見されています。
 しかし私は、なた豆の効能は、これらの有効成分だけでなく、豊富に含まれるビタミンやミネラル、あるいはそれ以外の成分を含めた総合力だと思います。
 なかでも注目すべきは、ミネラルです。なた豆は土中のミネラルが少なくなると枯れてきます。それほど土の中からミネラルを吸い上げる力が強いのでしょう。またミネラルが十分ではない土地で育てると、なた豆はそれほど大きくなりません。
 さやが30〜40cmにもなるなた豆を生産しているのは、鹿児島市の吉田地区ですが、ここは吉田貝層と呼ばれる古代の貝類の堆積層が広がっており、ミネラルがとても豊富です。このため、大きななた豆を作ることができるのです。
 現代人は慢性的なミネラル不足だといわれますが、なた豆はこうした必須栄養素の補給にも役立つ健康食品といえます。
村上光太郎(むらかみ・こうたろう)
1945年広島県生まれ。徳島大学薬学部卒業後、同大学大学院研究科修了。同大学薬学部助手を経て、2005年崇城大学薬学部薬学科教授に就任、現在に至る。日本および海外の薬草、民間薬の調査や収集をライフワークとし、その成果は国内外で高く評価されている。薬学博士。薬剤師。
掲載協力 : 『はつらつ元気』2008年11月号(特別付録)

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