なた豆いろいろ −基礎知識・歴史・産地−

福神漬け 福神漬けで使われるなた豆

あなたも なた豆を食べている?

■カレーライスの女房役といえば…

日本人はカレーライス好きと言われます。どこの家庭でもカレーは定番の献立であり、その家ならではレシピは「懐かしい味」として親から子へとて伝承されていきます。一方、レストランや専門店のプロの味のカレーも捨てがたいものです。家庭の味から高級店の味まで、自在に愉しめる点がカレーの醍醐味かも知れません。
いつでもどこでも大人気のカレーライスに欠かせないもの……といえば何でしょうか。カレーライスの元祖女房役、それは福神漬です。その福神漬に、なた豆が入っていることをご存知でしたか?

福神漬の考案者は漬物の老舗「酒悦」の十五代・野田清衛門さん。明治10年頃にはすでに考案していたそうですが、工夫を重ね、発売までに約10年の月日を費やしています。初めて売り出されたのは明治19年(1886年)といいますから、もう120年以上も日本の食卓を彩ってきたといえます。食欲をそそる独特の色は、見た目にもカレーライスにぴったりですね。

■なぜ「福神漬」なのか?

福神漬の名前の由来は原料が7種の野菜であることから七福神に因んで名付けられました。
名付けたのは当時の流行作家・梅亭金鵞で、店舗近くの不忍池に七福神の一つ、弁天様があることに由来するそうです。あるいは、「福神漬は大変美味なので他におかずがいらず、自然とお金がたまる縁起の良い漬物だ。福の神も一緒につけてあるのだろう」と噂され、福神漬と呼ばれるようになったという面白い説もあるようです。

確かに福神漬には、ちゃんと7種類の野菜が使われています。ウリ・レンコン・シソ・カブ・ナス・ダイコン、そしてなた豆も入っているのです。思い出してみてください、薄く切られたかわいい豆をみつけた覚えはありませんか? これはなた豆の未成熟のサヤなのです。成熟したなた豆は繊維質が増えて硬くなってしまうため、サヤが全長10cm程度になったところで収穫します。それを一度塩漬けにし、塩抜きしてから他の野菜とともに再度漬け込むという手間をかけて、福神漬は作られているのです。

■カレーと福神漬は“黄金のコラボ”

福神漬がカレーライスに添えられるようになったのは、明治35年から36年頃、日本郵船のヨーロッパ航路の船の食堂が最初だったようです。ヒントはインドのチャツネだったらしいのですが、当時の日本人には不評で、一等船室のみに福神漬を添えるようにしたところ大好評だったそうです。ちなみに二・三等はたくあんだったので、福神漬は高級品、とのイメージもこのときにできたのかも知れません。なた豆をはじめとする野菜のシャキシャキした食感と独特の甘さが、いまも「カレーには福神漬」という黄金の図式が受け継がれている秘密かもしれません。

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