第5回 全国薬草シンポジウム2016 in あいら 報告レポート

第5回 全国薬草シンポジウム2016 in あいら

古来より自生する自然の植物を薬草として活用し、人と地域を健康にしようという主旨である全国薬草シンポジウムが、今年は、なた豆の古里、鹿児島県で開催されました。 刀豆ナタマメ協会も本イベントを後援しました。実り多かった大会のようすをレポートします。

イベント概要

  • 薬草シンポジウム9月10日(土)13:15〜17:00 鹿児島県姶良市加治木町加音ホール
  • 薬草料理を楽しむ交流会9月10日(土)18:00〜20:00 鹿児島県姶良市蒲生町フォンタナの丘かもう
  • 村上先生と巡る薬草の森散策9月11日(日)9:00〜12:00 鹿児島県県民の森/自然薬草の森
  • 島津義弘公武者行列9月11日(日)10:00〜11:30 加治木護國神社〜加治木駅前〜精矛神社
  • 薬草商品と姶良市特産品等の販売9月11日(日)鹿児島県姶良市蒲生町フォンタナの丘かもう

薬草シンポジウム

シンポジウム会場となった姶良市加治木町加音ホール

第5回シンポジウムは、開催地姶良市の子どもたちによるオープニングアトラクションにより幕を開けました。日本の伝統芸能である和太鼓を郷土の芸能として継承することを目的に結成された「蒲生郷 大楠少年和太鼓」による「大楠物語」が勇壮な響きで演奏されると会場からは大きな拍手が沸き上がりました。

子どもたちの息の合った和太鼓の演技。日ごろの練習の成果を如何なく発揮していました。

「第5回全国薬草シンポジウム2016inあいら」
実行委員会会長山野秀明氏

シンポジウムでは、開催に先立ち開会の言葉として、「第5回全国薬草シンポジウム2016inあいら」の実行委員会会長である山野秀明氏による挨拶、さらに開催地である姶良市笹山義弘市長より歓迎のことばが述べられました。

姶良市笹山義弘市長

基調講演

開会の挨拶に続いて、崇城大学薬学部薬学科特任教授村上光太郎先生による基調講演へ。大きな拍手によって迎えられた村上先生は、近年の食事制限による健康法の誤りを指摘され「健康の源は食べることで、食べない健康というものは無い」「たくさん食べることが悪いことだという風潮があるが、食べ過ぎるのが悪いのではなく、食べて動かないことが問題なのだ」と切り出された。「食事は、カロリーと同時に体に必要なミネラルを取り込むことを目的にしているが、減食は、摂取カロリーを減らすと同時に体に取り込まなければならないミネラル分まで減らしてしまう。しっかり食べて、しっかり動くことが長寿の秘訣」と長生きの秘訣を伝授。近年は、体に必要なミネラルという視点から、植物の持つ各種ホルモンへの注目が集まっているといいます。

実は、これまで敬遠されてきた「苦い、酸っぱい、えぐい、渋い」はミネラルの塊。私たちはつい常識にとらわれて、山菜などのえぐみのあるものは、あくぬきなどの処理をするものと思い込んでいますが、先生のお言葉では「そういった調理法は、植物の持つ大切なミネラルを捨てているだけ」とのこと。「ヨモギ」の新芽を一日6回食べることで3カ月から6カ月で骨密度は改善する。つくしは、はかまの部分が一番おいしい! など今までの常識が覆るようなお話に会場中が引き込まれていきます。

健康食材をおいしく食べる方法、前例にとらわれない保存方法とは・・ユーモアと深い見識を織り交ぜた講演は楽しく、あっという間に1時間30分の時間が過ぎてしまいました。最後に「健康な食材を食べて、しっかり動けば180歳まで生きられます。みなさん180歳まで元気で長生きをしましょう」とのお言葉で講演をしめくくると、会場は大きな拍手で包まれました。

パネルディスカッション

基調講演に続くパネルディスカッションでは、コーディネータとして鹿児島県立図書館館長の原口泉先生、

パネリストとして村上光太郎先生、NPO法人霧島食育研究会理事長の千葉しのぶ氏が登壇されました。
千葉氏からは、最近の若者の食生活の実態が紹介され、食べることの基本が崩れているという問題が提示されました。この問題に対して原口先生は「このような食の乱れが、我慢ができないといった最近の若者の傾向と関連があるのではないか」と食と心の関連についてのテーマに発展、村上先生からは「ミネラルなどのバランスが乱れることで、脳を含めた機能がうまく働かなくなる」との指摘がありました。

引き続き千葉氏から、NPO法人霧島食育研究会が実施する「霧島・食の文化祭」「かごしま郷土料理マイスター講座」などの取り組みが紹介され、野草や伝統的な調理法を使った郷土料理のすばらしさが伝えられました。原口先生からは、鹿児島県がミネラル分を豊富に含んだシラス台地という自然に恵まれた健康食材の宝庫であること、その代表としてナタマメがあることが紹介されました。村上先生は、「郷土の特徴ある植物は、まさに宝。この宝を活かすことで、地域の魅力が発信され、産業が興り、地域が活性化する」と野草や山菜といった身近な食材の見直しを行う提言がなされました。

シンポジウムの最後に来年第6回大会開催地岡山県真庭市の紹介がありました。真庭市からは総勢27名のメンバーの皆さまが参加いただきました。第6回の成功を誓い合い、シンポジウムは盛況のうち閉会となりました。

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